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子宮体癌Ia期の高単位黄体ホルモン療法、成功するポイント

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がん電話相談で子宮体癌Ia期の高単位黄体ホルモン療法の質問です。
産経新聞平成26年2月4日の生活欄よりです。

質問

28歳の女性です。9ヶ月前、子宮体癌Ia期と診断されました。
既婚で子供が居ないことから、妊娠の可能性を考え、高単位黄体ホルモン療法を行っています。

3ヶ月間のホルモン療法で癌は消えました。
3ヵ月後の定期健診で、また癌が見つかり、再びホルモン療法を行い、現在癌は消えています。高単位黄体ホルモン療法とはどのようなものですか?

回答 高単位黄体ホルモン療法について

子宮体癌に対する高単位黄体ホルモン療法は、メドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)の1日400〜600ミリグラム内服と約2ヶ月ごとの子宮内膜の全面掻爬手術(そうは)で、6ヶ月継続します。
(6ヶ月間に計3〜4回の子宮内膜全面掻爬手術を実施)

この治療が成功するポイントは子宮体癌が子宮内膜に留まり、筋層浸潤していないことです。
もし筋層浸潤があればMPAで癌の勢いを弱められても、子宮内膜全面掻爬手術での物理的除去ができないため、 治療を導くことはできません。

子宮頚部上皮内癌は、円錐切除術で97%が治癒し、再発率は3%ぐらいであるのに対し、子宮癌のMPA療法では、治癒率66%、再発率50%(33%しか治らない)と治癒は難しいのです。

質問

このままMPA療法を繰り返しても大丈夫?

回答

子宮体癌が高分化型であれば、MPAでがん細胞は変性し、勢いが弱くなり、3、4回の子宮内膜全面掻爬による癌の蔓延(卵管を通過して腹腔内に進入して広がるなど)リスクは無視できます。

中分化型や低分化型の場合には、子宮内膜全面掻爬手術に伴って、腹膜播種を作る可能性があり、リンパ節転移を起こすリスクも出てきます。
MPAで治癒しなかったり、再発した場合、子宮と卵巣の全摘に加え、骨盤リンパ節の郭清(かつせい)も実施すべきです。

腹膜播種(ふくまくはんしゅ)

腹膜にガンが転移している状態のこと。

リンパ節郭清(りんぱせつかつせい)

悪性腫瘍のリンパ行性転移に対してリンパ節を切除する手術。